この頃になるといつも思い出す。大学に入学して三十三年が経った。あの時に未来のことなど想像もつかなかった。とにかく必死だった。まだ十九歳になりたての精神的にも未熟な人間には、正に今生きているその大学時代がこの世に存在する天国なのだ、ということを心で理解することなど所詮、無理な話だった。
こうして気が遠くなるほどの時を経て、初めて二度と戻る事のできないあの時の重みを感じることができるのかもしれない。
西新宿の数々の高速ビルが溶け込んだ夜景は、田舎で育った私には別次元の世界だった。なぜかいつもその夜景を思い出すのはよほど印象深かったからなにだろう。
私は、その時代の空や雰囲気の色があると思っている。あの時の色は今の時代にはもう感じることはできないのだろう。いま感じている色もいづれなくなると思うと、どうにかして残しておきたいという衝動にかられる。